SIMMメモリを倍増させたい!

 

・はじめに

最近、メモリのお値段はものすごく安くなってきました。しかし、それはSDRAMのお話で、PC98の世界では440VXを搭載した一部のユーザーしか恩恵を受けられません。それどころか大容量SIMMの入手は日に日に難しくなっています。そこで手持ちの16MBのSIMMを2枚用意して32MBSIMMをつくってしまおうということになります。

・材料をそろえよう!

16MBのSIMMで片面にしかチップが付いていないもので裏面に表面と同じランドが有るもの(画像)を2枚。同じものが理想だか型番が違っても使える場合がおおいので半導体メーカーのデーターで確認して下さい。チップメーカーが異なると当然型番は変わりますが統一規格が有るのでこれに準拠していればまず動作します。動作スピードの異なるものを混載すると遅いほうのスピードでしかつかえません。PC98では多くが本体側の仕様で70nsですのでクロックアップとかしないならばあまり影響が有りませんが、将来性を考えると統一した方がいいです。ただし、EDOとファーストページは絶対混ぜないように。ファーストページ対応機種にEDOが使えるという書き込みが以前ありましたがすべてに適合するわけではなく、PC9821XsなどではEDOを受け付けませんでしたし、もちろんEDOな機種(V200/MZ)などではファーストページでは安定動作しません。

・作業手順

16MBのSIMMの空きランドに表面と同じようにチップを乗せればいいといえばそれだけなのですが、なかなか簡単に行くものではありません。私は以前はチップのすき間にマイナスドライバーをつっこみバリバリ☆っとはがしていましたが、当然ピンは曲がるしパターンがはがれたりするのでこれらを取り除く必要が出てくるため面倒です。ピン曲がりは再取り付けの成功を大きく左右しますので絶対にさけたいです。そこで、はんだごてではなく、工業用のドライヤー(メーカーによってエアーホットガンとかヒーティングガンとかいう)ではずしてしまいます。SIMMを立てた状態でSIMMモジュールごと暖めます。だいたい熱風吹き出し口から5センチ位はなして暖めていると半田が溶けてチップがポロッと落ちるはずです。このときチップはかなり熱くなっていますが壊れることはまず無いでしょう。生産するときはこのような方法で半田付けしているためです。あと、モジュール上のコンデンサも忘れずに回収しておきます。

あとははずしたパーツを空きランドに取り付けるわけですが、先にコンデンサから取り付けておかないとあとからの取り付けは難しいです。経験上、無くて安定動作しますが、有った方がよいのは言うまでもありません。半田付けの前にスロットの部分にテープを貼って半田が付かないようにしておきます。半田が付いてしまうとそこの厚みが増し、SIMMスロットを痛めます。ランドには予備半田を行い、そのあと必ず吸い取り線きれいに半田をすべて吸い取ります。これが済んだら慎重に位置決めをして、一カ所ずつ丁寧に付けていきます。狭いので慎重に。失敗すると16MBSIMM2枚を失うばかりでなく、最悪マザーを壊しますので同じ原理で4MBSIMMを2枚用意して8MBを作る練習をされることをおすすめします。特に大きなチップが片面に2個乗っている4MSIMMは加工しやすいので練習向けです。

・動作チェック

おそらくペンティアム機での使用を前提にしていると思いますので2枚組で実装しますが、これでは1枚の動作チェックははっきりわかりません。私はチェックに1枚単位でチェックできるPC9821BX4を利用しています。このマシンはファーストページ、EDO共に利用できます。電源を入れてピポ音が出ない場合はすぐに電源を切って下さい。失敗している場合の多くはMEMORY ERRORと赤文字で表示されピーっと鳴り続けます。メモリカウントが正常ならば次は実際に読み書きのテストです。チェックソフトはアイオーデータ製のMEMORYSERVERという増設メモリの添付品に含まれるTMEM.EXEを使って行なっています。このソフトは搭載されている全メモリアドレスについて読み書きテストを行っており、信頼性は高いと思います。動作しない場合は半田付けをよく確認して下さい。ただしADTECブランドの場合など一部のSIMMは抵抗の空きランドをジャンパしないと動作しないものもあります。

・応用

当然、材料として用意するのは同じもの2枚である必要はなく、部品供出の方はチップさえ使えればマック用だろうが何であろうが問題にならないということです。さらに、パリティビットやECC対応の場合はそれらのチップも移植すれば同様に使えます。