整備マニュアル

はじめに

よくお問い合わせのある車両の整備方法について、みなさまのお役に立てればと思いご参考として公開いたします。ただし、この整備を実施しなければ当レイアウトにて走行できませんよ、という意味ではなく、一般的なレイアウトにて快適に走行できる整備方法を記載させたいただきます。
もちろんこの内容で整備していただけますと当レイアウトにおいても快適な運転がお楽しみいただけることは言うまでもありません。なお当店はいかなる責任も負いませんので整備は自己責任で。

順次コンテンツを増やしていきますので、お気長にお待ちください。

 

車両整備で絶対にやってはいけないこと

1.【重要】CRC5-56(クレ556)は絶対に使ってはいけません!!

万能なクレ556とも言われておりますが、模型には大敵です。万一車輪踏面に付着しますと牽引力がなくなり、線路を徹底的に掃除しなくてはなりません。それに銅やプラスティックや塗膜を侵すので、取り返しの付かないことになります!

 

2.【重要】やすりは使ってはいけません!

レールや車輪、集電板が汚れているからといって紙やすり等で磨いてはいけません。一時的にはピカピカになりますが細かいキズが入ってしまい、かえって汚れやすくなります。それにメッキもはがれてしまいますので、決定的に汚れに弱くなってしまいます。

 

3.【重要】レールは直接手で触れてはいけません! 

 レールを手で触れてしまいますと手の脂によって酸化の原因となり、走行不良が発生いたします。特に当レイアウトでは真鍮製レールを採用しているので、レール踏面には極力お手を触れぬようご注意願います。

 

4.サイズの合わないドライバーの使用はだめ!
 ドライバーのサイズが合いませんとネジの頭を潰したり、最悪ネジが折れる原因となります。ドライバーには正確なサイズがあります。「+0番」等正確な呼び名があります。100均などの規格がはっきりしない工具の使用はやはりネジの頭を痛める原因となります。高価なものではありませんので、ベッセルなどブランド品の利用を心がけましょう。

 

運転の前に

1.連結器(カプラー)の高さは正しいですか?

 連結器の高さが合いませんと運転途中にトラブルに見舞われます。客車や貨車などのケーディカプラーに代表される自動連結器タイプは高さ調整が非常に重要です。平坦線に車両を置いたとき、8割がたカプラーが重なっている必要があります。それより高さの差が大きい場合は調整が必要です。そのままですと運転途中に切り離ししてしまいます。
 密着連結器の場合はカプラーの高さが異なりますと高い側の車両の浮き上がりの原因となり脱線につながります。連結状態で平坦線に並べた状態で、片方の車両を3mmほど持ち上げたとき、他方の車両の台車が線路から浮き上がらないことが理想です。すなわち上下方向の連結器の自由度があることが重要なのです。
 特にカツミ・エンドウの先頭車同士を連結する際の密着連結器は上下方向の遊びが少ないことが多いので注意が必要です。

 

2.連結器の首振りはスムーズですか?

 首振りがスムーズでないとカーブに差し掛かったときに脱線してしまいます。引っかかりがあるような場合は改善が必要です。

 

3.台車の遊びは十分ですか?
 線路方向、枕木方向に台車が十分自由に動くことは大事なことです。線路のわずかなねじれの吸収やカント突入・脱出の際に重要な働きをします。遊びが十分でない場合、センターピンのネジを緩めたり、ブラス製車両の場合はバネを弱くしたりする必要があるかもしれません。金属製台車の場合、台車枠が裏側のネジでつながっていますがボルスターと台車枠が十分自由に動かせる状態であることもあわせて重要です。

 

4.車輪は清潔ですか?
 いうまでもなく車輪が汚れていますと接触不良の原因となり快適な走行を阻害します。当店で頒布しております金属保護液を薄く塗布してあれば、頑固な汚れは付着せず、軽くこするだけで簡単に汚れが取れるようになります。

 

もっと踏み込んだ整備をお望みなら

これだけ整備するだけで十分快適な走行が得られると思いますが、更に整備する場合はこちらをご参考にどうぞ。

1.ACEカプラーは消耗してませんか?
 カツミ・エンドウ製の完成車両に装着されているACEカプラーって実は消耗品なのです。消耗すると走行中に外れやすくなります。その場合は速やかな交換が必要です。またACEカプラーのピンが抜け落ちている場合がありますので、抜け落ちていれば少量の接着剤を添えて元に戻します。

2.インサイドギアの調整は大丈夫ですか?
 縦型モーターともいいます。いわゆるインサイドギアは調整次第ではかなりスムーズに作動し耐久性も高いものです。しかし調整が悪いと寿命が縮まったり異音や動作不良の原因となります。特にウオームギアが下方へ付きすぎている場合、ポイントなどに接触するだけでなく枕木を削る原因にもなりますので、レール面より十分にマージンがあることを確認します。モーターの取り付け位置の調整でスムーズさが決まりますが、文面で説明するのが難しいので、じっくり挑戦してみてください。

3.軌間はずれていませんか?
 車輪の軌間(ゲージ)が変わってしまうことが稀にあります。カツミ・エンドウ規格の古い車輪の中には絶縁ブッシュがゆるくなって勝手にゲージが変わってしまう場合があります。車軸に対して車輪をネジ込むタイプのものは車輪が緩んでいないか確認が必要です。車輪締め具なる工具もあるそうですが、お持ちでない場合は車輪を台車枠からはずして手で締めつけます。ゲージが狂うと当然ですが脱線の原因となります。

4.トレーラ車の車輪の転がりは大丈夫ですか?
 トレーラー車(T車)の転がりが悪いと十分な動力車が編成のなかにあるにもかかわらず、牽引力不足となります。また、走行中にキーキーキュルキュル不愉快な音がする症状が出る場合があります。
 その場合一旦車輪をはずして軸受けに注油することで解決しますが、油が車輪踏面へ付着しないように気をつけます。このとき、ご面倒でも一旦車輪を取り外して軸受けに直接塗布することがポイントです。ただし、当店で頒布している金属保護液なら車輪踏面へまわってしまっても問題ありませんし、金属保護液はオイルではないので潤滑性は劣りますが油切れ状態となりにくく長持ちします。
 確認方法は平坦直線にてKATOのリレーラーを設置後、リレーラーの頂点に車両を置き手を離します。リレーラーの外まで車両が進めば合格、リレーラー1本分位先まで車両が滑走すれば理想的です。